こんにちは、都筑区の放課後デイサービス FORTUNAです。
さて前回は英国(ロンドン)の話でしたが、ここからは長いのでしょっていきます。英国からフランス、ベルギー、ドイツ、オーストリアまで移動しました。ベルギーでは、スパ・フランコルシャンサーキット、オーストリアでは、エステルライヒリンク、そしてザルツブルグとウィーンを一通りブラブラして過ごしました。
観光都市であるウィーンは、やはり美しく素晴らしい街で観光客でいっぱいでした。ボロボロのジーパンに薄汚れたダウンジャケットという小汚い格好の私のような者は、明らかに浮いているように感じました。
そんな気持ちになったので、スロバキアに友だちが住んでいるのを思い出し、友だちの家に行くことにしました。首都のブラチスラバまでは5,60kmぐらいです。
ウィーンのターミナルから夜行バスに乗ったのが夜の9時過ぎ。
途中でオーストリアの国境を越えるので、スロバキアの検問所でバスが停車しました。
自動小銃をもった国境警備隊員が3人バスに乗り込んできてパスポートの提示を求めてきました。スロバキアから出稼ぎに出ている人がほとんどで、顔見知りの人も多かったようで、3人は後ろにポツンと座っている私に向かって歩いてきて、パスポートとビザの提示を求めてきました。
何回も顔とパスポートを見比べ、スロバキア語+片言英語で聞いてくるので、片言英語+関西弁で対抗し、最後はすんなりと通してもらいました。
バスに揺られること約3時間。ブラチスラバのバスターミナルに着いたのが午前0時ぐらいでした。バスターミナル(新宿のバスタみたいなところ)は夜行バスの出入りが多くあり、時間の割には人が多く、友だちに電話をしようと公衆電話に向かいました。
持っていた小銭を公衆電話にいれ、メモを取り出し電話を使用としたのですが、小銭がカチャンと戻ってきます。おかしいなと隣の電話機で試しましたが、やはりカチャンと落ちてしまいます。
「壊れてるやん!」とブツブツ一人で文句を言っていると、全然知らない若いカップルが近づいてきました。どうやら、助けてくれそうです。(ここから日本語訳にします)
<カップル>「お兄ちゃんどうしたの?」
<私>「電話しようと思ったんやけど、どうやら壊れてるみたいで」
<カップル>「そうなん?ちょっとお金貸して」
<私>「わかった」
<カップル>何回やってもカチャンともどる小銭「あれ?ほんまやなあ?」
<私>「そうやろ?」
<カップル>じっと小銭をみて「・・・・・・・」
<私>「・・・・・・」
<カップル>「これって、スロバキアの硬貨じゃ無いやん。これは使えないよ。」
<私>「・・・・・・・そういうことか・・・ どうしよう。」
私は途方に暮れました。時間は午前0時を回っているため、両替所はおろか店も開いていません。
今持っているお金は、ドルだのポンドだのマルクだの全て違う国のお金ばかり。
「やばい。今、俺はここでは一文無しじゃん」
その時、そのカップルが私に手をさしのべてくれたのです。
カップル同士がポケットからスロバキアの小銭をかき集め、私にくれたのです。
その上、「どこに電話をするのか?なんなら代わりに電話してあげようか?」と優しい言葉まで掛けてくれました。
「この番号に電話したいんだけれど」と紙を差し出すと代わりに電話をしてくれました。
「よくわからない日本人が電話をしたがっているが、大丈夫か?」と話しているようでした。彼女が「代わって」と言ってくれたのでようやく話すことができました。
「たけし!! 何故、スロバキアにいるの?」
「いや、何となくウロウロ旅行してたらスロバキアに来た(笑)」
その様子を見て、大丈夫と思った優しいカップルは、「それじゃお元気で」とターミナルを去って行こうとしたので、電話口を押さえながら、「本当にありがとうね」と手を振って分かれました。
それから、いろいろ説明をしていたのですが、カチャンカチャンと容赦なくお金が落ちていきます。「お金が落ちるのが早い」と彼女に訴えると「今、スロバキアのどこ?」と聞かれ、全く読めないスロバキア語の看板を見回しながら、「さあ、どこかなあ。ブラティスラバのどこかのバスターミナルだと思うんだけど」と答えるのが精一杯。
「オーストリアからきたんだよね。場所の検討は大体つくけど・・・」と答えが返ってきたのと同時に、横から男の人の大声が聞こえました。
「お父さんが絶対にその場を離れるな!と言っている。今からお父さんとすぐに迎えに行くから絶対に動かないでね」と言われました。「午前3時には着くと思うから!絶対に動いちゃダメだよ」
「じゃ、待っているわ」と言うと同時に最後のコインがなくなり、通話が切れました。
「午前3時か・・・・。マジか・・・・」
バスターミナルは日本のようなものではありません。外気温計はマイナス20℃を示しており、拭き晒しの状態です。ターミナルもバスの到着が段々と減ってきて電気も消え始め、乗客の姿は少なくなってきました。
一人頑張って粘っていたのですが、午前1時にはバス会社の人と警備員の人からターミナルから退去するように言われ、追い出されてしまい鍵をかけられてしまいました。
連絡がついたことに安堵はしたものの、果たして本当にこの場所で良いのか?あと2時間(午前1時~午前3時)マイナス20℃の中で絶えられるのか?本当に来てくれるのか?頭の中は段々不安でいっぱいになってきました。
この出来事が人生最大のピンチの始まりでした。
続く
放課後等デイサービス FORTUNA